公開日:2024/02/26 更新日:2024/02/26
ポイ活の収益は確定申告が必要?いくらから?やり方や必要書類も紹介

ポイ活で稼いだら「確定申告しなければならない」ということはご存じでしょうか。原則として会社員は、副業の一時所得が1年間に20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。
本記事では、ポイ活での収益がどのくらいになると確定申告が必要になるのかについて、一時所得と雑所得に分けて解説します。記事を読めば、ポイ活で稼いだ場合の確定申告の方法と必要書類が分かるようになるでしょう。
ポイ活の収益は課税対象?対象になるケース・ならないケース

「ポイ活」とは、商品購入や特定のサービスを利用することでポイントを貯めて、そのポイントを活用することです。
【関連】ポイ活とは?メリットや注意点と楽しくポイントを貯めるコツを解説
ポイ活で稼いだポイントについて、以下の2つのケースに分けて解説します。
- 課税対象外のケース
- 課税される可能性がある主なケース
判断する基準は、ポイ活で得た収益は経済的利益と見なされると課税対象になる可能性がある点です。
課税対象外のケース
ポイントを保有しているだけの場合と、企業などの独自発行のポイントでは課税対象外です。
ポイントを保有しているだけの場合
ポイ活をしていればポイントが貯まります。ポイントを貯めているだけの状態であれば、経済的利益に該当しないため、課税対象外です。
ポイントを貯めていること自体は、収入とは認められません。
ショップや企業グループが独自に発行しているポイントの場合
ショップなどで商品を購入した際に、ポイントが付与されることがあります。
付与されたポイントを次回の買い物に利用する場合は、原則として確定申告の必要はありません。商品の値引きを受けたと見なされて、経済的利益に該当しないためです。
ドラッグストアなどの企業グループが独自に発行しているポイントも同様に、課税対象外です。
ただし、抽選やキャンペーンに当選して付与されたポイントは臨時的・偶発的なものと認められます。当該ポイントを使用した場合は、使用相当額を一時所得の金額の計算上で総収入金額に算入するため、金額によっては確定申告の対象となる可能性があるでしょう。
課税される可能性がある主なケース
ポイ活の確定申告において課税される可能性があるケースとして、一時所得と雑所得に該当する場合について所得別に解説します。
一時所得に該当する場合
一時所得に該当すると、課税される可能性があります。
消費者が買い物でポイントを取得した、キャンペーンでポイントを取得した、という場合に当てはまります。
一時所得に該当するのは、給与所得などの他の所得の区分に該当しない所得の中で、営利目的でない臨時的所得、対価として見返りを期待できない所得であることです。
雑所得に該当する場合
雑所得に該当する場合も、課税される可能性があります。例を挙げると、副業のアフィリエイトなどの継続的な業務で獲得したポイントや、アンケートへの回答によって対価としてポイントを取得した場合です。
雑所得に該当するのは、他の所得の区分に該当しない所得の中で、さらに一時所得にも該当しないものです。
ポイ活で確定申告が必要なのは収益がいくらから?

ポイ活で確定申告が必要になる収益について、具体的に個人事業主と給与所得者に分けて考えてみましょう。
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個人事業主の場合
個人事業主は原則として、確定申告が必要です。一定範囲の給与所得者と異なり、年末調整の対象外であるためです。
個人事業主はポイ活に関係なく、年間の合計所得金額が基礎控除の48万円を超えれば確定申告する必要があります。
また、確定申告が必要かどうかについては、青色申告特別控除額を考慮する必要はありません。青色申告特別控除を受けるには、確定申告をしていることが前提であるためです。
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給与所得者の場合(会社員)
個人事業主以外の給与所得者は、所得の課税金額が年間で20万円を超える場合に確定申告が必要です。
一時所得の場合
一時所得とは、営利を目的とした継続する事業や行為によって得られる所得以外の所得です。サービスや労務を提供した対価、または資産譲渡の対価としての性質を有しません。
一時所得は、年間90万円を超える場合に確定申告が必要です。
【一時所得の課税金額の計算式=(収益-必要経費-特別控除:最大50万円)×2分の1】
この式に、ポイ活によって得た一時所得が年間90万円だった場合を当てはめてみます(計算簡略化のために、必要経費がなく特別控除を最大50万円として計算しています)。
一時所得の課税金額=(90万円-50万円)×2分の1=20万円
給与所得以外の一時所得の課税金額が年間20万円を超えるため、一時所得は年間90万円を超える場合に確定申告が必要です。
雑所得の場合
給与所得者は、ポイ活による雑所得が年間20万円を超える場合に確定申告が必要です。
年間20万円以下の場合、所得税の申告は不要ですが、住民税の申告が必要になります。
給与所得者以外の場合(専業主婦や学生など)
専業主婦(主夫)などで給与所得がない方は、所得控除額を差し引いた後に所得があれば確定申告しなければなりません。
以下で、一時所得と雑所得に分けて解説します。
一時所得の場合
給与所得者以外では、ポイ活による一時所得が年間146万円を超える場合に確定申告が必要です。
雑所得の場合
給与所得者以外では、ポイ活による雑所得が年間48万円を超える場合に確定申告が必要になります。
ポイ活で得た所得を計上するタイミング

ポイ活サイトで得たポイントを使用した時点で、経済的利益が確定したと見なされるため課税対象になります。
例えば以下の場合です。
- ポイントを現金化したとき
- 電子マネーに交換したとき
ポイントの現金化で所得計上するタイミングは、有効期限が切れて失効する場合もあるため、ポイントを口座振り込みなどで現金に交換した時点とするのが適切です。
電子マネーの交換で所得計上するタイミングは、電子マネーはすぐに支払いに使用できることから、ポイントを電子マネーにチャージした時点が所得計上するタイミングです。
ポイ活の収益を確定申告する方法と必要書類

ポイ活で稼いだ収益を確定申告する場合、必要書類のそろえ方から所得税の納税までを以下で解説します。
1. 必要書類を準備する
確定申告の必要書類には、主に以下の3つがあります。
- 収支内訳書
- 源泉徴収票
- 医療費を負担した方は医療費の領収書(原則として本人と生計を同一にする世帯の方の分を含む)
2024年1月時点において、ポイ活で獲得したポイント収入に対して、ポイントサイトの運営会社からの公式書類は発行されません。ポイントの獲得履歴が分かるように、自身で正確に記録しておきましょう。
2. 確定申告書を記載する
確定申告に当たっては、以下の3つの記載方法が一般的です。
1. 税務署
管轄の税務署に備え付けのパソコンとプリンターの利用が可能です。税務署の職員に不明点を聞きながら入力し、印刷もできます。
従来通り、紙ベースの確定申告書に手書きで記入される方も少なくありません。
確定申告書の作成予約が必要かどうかは、各税務署に問い合わせが必要です。休日対応している税務署もあるので、確認してみてください。
2. 国税庁ホームページ
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からの入力と作成もおすすめです。動画解説もあるので、一度目を通しておくといいでしょう。
画面の手順に沿って入力しますが、途中でデータを保存して都合の良い時間に作成を開始できます。入力が終了したら、保存したデータを確定申告書の提出用として印刷が可能です。
過去に作成したデータを基にして、保存された入力項目を利用し、作成できる機能もあります。
3. e-Tax
マイナンバーを取得しており、カード読み取りが可能な環境(マイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンまたはパソコンにICカードリーダライタを接続)であれば、確定申告書の作成に利用できます。
e-Taxで申告すると、確定申告書の印刷や郵送が不要です。医療費控除の還付金などがある場合には、紙ベースでの提出よりも早く還付金を受け取ることができます。
確定申告書の入力に際して自分で手に負えないときには、税理士に相談するのが一番ですが、ポイ活でそれほど収入のある方は少ないでしょう。
3. 確定申告書を提出する
確定申告書は以下の方法で提出します。
- 管轄の税務署へ持ち込む
- 管轄の税務署へ郵送する
- e-Taxで送信する
確定申告書の記載内容や添付書類に不備がある場合には税務署から連絡があるので、すぐに対応してください。
4. 所得税を納税する
確定申告書を提出し、所得税が課税されれば、法定納期限(原則3月15日)までに納税しなければなりません。
実質的な納付するタイミングは、納付方法により下記の通りです。
- 確定申告書の提出と納税期限:原則3月15日
- 振替納税:申告期限から約1カ月後に口座から引き落とし
- クレジットカードでの納付:カード会社の引き落とし日
口座の残高不足により引き落としできなかった場合には、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じた延滞税がかかるので、注意しなければなりません。
ポイ活の確定申告前に知っておきたい節税知識

ポイ活の確定申告前に知っておきたい、主な節税知識を4つ解説します。
- ポイ活収入を正確に記録しておく
- 必要経費を算出する
- 医療費控除や寄付金控除を活用する
- 分からないことは専門家に相談する
以下で詳しく見ていきましょう。
ポイ活収入を正確に記録しておく
確定申告に際しては、ポイ活で得た収入の正確な把握が求められるため、日々のポイ活での収入を記録しておく必要があります。税務署への申告時には、収入を証明できる資料が必要となるためです。
特に複数のポイ活サイトを併用している方は、収支が明らかになるようにサイトごとに収支表を作成しておくといいでしょう。複数の利用によって、収支が把握しにくくなるためです。
Excelなどで下記項目を記入して、収支表を作成しましょう。
- ポイ活サイト名
- 日付
- 獲得ポイント
- 換金額
- 所得区分(一時所得か雑所得か) など
一時所得と雑所得を分けておくと、確定申告がスムーズに進みます。また、日頃からポイ活での収入を記録しておけば、無駄な出費がないかなど家計費の管理にも役立つでしょう。
必要経費を算出する
必要経費を適切に計上することで、税負担の軽減が可能です。ポイ活に要した必要経費がある場合には、領収書を保管しておく必要があります。
ポイ活で経費にできるものとして、以下の項目が挙げられます。
- インターネット回線の料金
- ポイ活専用のパソコンの購入費用
- ポイ活専用のスマートフォンの購入費用
- ポイ活に必要な関連書籍購入費
- ポイ活の座談会に要した交通費(交通費が支給されていない場合) など
ポイ活のために必要と認められれば、利用料や取得費用などが必要経費に算出できる可能性があるでしょう。
使用時間や目的などに応じ、ポイ活用と家庭用との使用割合の案分計算が必要となることも覚えておいてください。
医療費控除や寄付金控除を活用する
確定申告に際しては、医療費控除や寄付金控除の活用が可能です。これらの控除は、税負担の軽減につながる節税手段として知られています。
医療費控除は、1年間の医療費が10万円超の場合に適用できる所得控除です。総所得金額により異なりますが、総所得金額が200万円未満の方は5%を超える医療費の支払いに適用されます。
一方で寄付金控除は、個人が国や地方公共団体、認定NPO法人などへの寄付をした場合、所得税の所得控除を受けられる制度です。
これらの控除を活用するためには、年間を通じて領収書などの証明書類を保管しておきましょう。
分からないことは専門家に相談する
節税のための必要経費算入の可否や医療費・寄付金控除など、一般の方には理解しづらい点も少なくありません。
節税のためにしたことで、税務調査を受けるようでは本末転倒です。税務相談は、税の専門家である税理士の独占業務のため、迷った際には早めに税理士へ相談するのがおすすめです。
ポイ活と確定申告に関する注意点

ポイ活と確定申告に関する3つの注意点を解説します。
- 他の一時所得・雑所得と合算する
- 確定申告不要でも住民税申告が必要な場合がある
- 住民税の変動で会社に副業がバレる可能性がある
ポイ活での確定申告の際に役立ててください。
他の一時所得・雑所得と合算する
他に副収入の一時所得があれば、雑所得と合算しなければなりません。ポイントサイトを複数利用している場合には、ポイントを全て合算した上で所得の算出が必要です。
ポイ活以外の副収入がある場合には、全ての収入を合算して所得を算出してください。例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金も一時所得に含まれるため、一時所得としてポイ活での収入と合算する必要があります。
ポイ活でのお小遣い稼ぎの副業であっても、雑所得の場合には年間20万円を超えれば確定申告が必要で、他の一時所得・雑所得との合算が必要です。
また、雑所得には公的年金や個人年金保険なども該当し、収入から特別控除や必要経費を差し引いて雑所得を計算します。
確定申告不要でも住民税申告が必要な場合がある
「ポイ活で確定申告が必要なのは収益がいくらから?」でも述べた通り、給与所得者のポイ活での雑所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税の申告はしなければなりません。
所得税では、所得が発生した場合に源泉徴収を行うなどの理由で、年末調整をした給与所得者が給与所得以外のポイ活での所得が20万円以下であれば、確定申告は不要とされています。
住民税では源泉徴収制度がないため、給与所得以外の所得があれば所得額にかかわらず市区町村への申告が必要です。
住民税の変動で会社に副業がバレる可能性がある
住民税の税額が変動することで、副業していることが会社に知られてしまう場合があります。確定申告することで住民税が高くなるからです。
確定申告時に特別徴収を選択すると、住民税の特別徴収事務の関係で市区町村から会社に通知されます。
会社に副業していることを知られたくない場合には、住民税の納付を特別徴収でなく、自分で納付する普通徴収を選択しなければなりません。普通徴収であれば住民税額は増えないため、副業していることが会社に気付かれることはないでしょう。
ポイ活の確定申告をしないと罰則が発生する可能性もある

確定申告をしないと、以下の罰則が発生する可能性もあります。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
確定申告の義務があるにもかかわらず、期限内申告を怠るなどの理由でペナルティーを受けないために、以下で確認しておきましょう。
無申告加算税
申告期限を過ぎてから確定申告すると、本来の税額に加えて無申告加算税が課される可能性があります。
納付すべき税額に対する課税割合は、下表の通りです。
納付すべき税額 | 課税割合 |
---|---|
50万円以下 | 15% |
50万円超〜300万円以下 | 20% |
300万円超 | 30% |
無申告加算税が課される条件には、以下の3つが挙げられます。
- 期限後申告を行った
- 税務署から期限後に所得金額の決定を受けた
- 期限後申告や所得金額の決定に関して修正申告や更生があった
ただし、一定の条件に該当すると加算される税額の軽減を受けられるケースがあります。
無申告加算税を避けるためには、ポイ活による収入を適切に管理し、期限内申告を厳守することです。
参考:国税庁「確定申告を忘れたとき」
延滞税
ポイ活による収入の確定申告を期限内に行わなかった場合、延滞税が課される可能性があります。延滞税は、納付期限を過ぎた日数に応じて発生する税金のことです。法定納期限の翌日から、完納日までの期間により計算されます。
税金が納付期限までに完納しないと、遅延日数に応じた利息相当の延滞税がかかります。原則として延滞税の税率は以下の通りです。
期限内納付がなされなかった期日 | 延滞税の税率 |
---|---|
納期限の翌日から2カ月以内 | 7.3% |
納期限の翌日から2カ月超 | 14.6% |
延滞税の特例基準割合は毎年改正されるため、基準割合は国税庁ホームページや管轄の税務署で確認が必要です。納付が遅れそうな場合は、早めに税務署に相談しましょう。
参考:国税庁「延滞税について」
重加算税
重加算税は、帳簿に仮装・隠蔽(いんぺい)などがあった際に課される税金のことです。帳簿内容の改ざんなど虚偽の申告があると、重加算税の対象と判断され厳しいペナルティーを受けます。
原則として重加算税の税率は、以下の通りです。
課税要件 | 重加算税の税率 |
---|---|
仮装・隠蔽があった場合 | 過少申告加算税・不納付加算税に代え:35% |
無申告加算税に代え:40% |
意図して仮装・隠蔽をすると、悪質と判断され、重加算税の税率は高くなります。過去5年内に更正・決定予知による無申告加算税や重加算税を課されているなどの条件で、悪質な場合はさらに高い税率が適用されます。
参考:国税庁「加算税の概要」
まとめ

買い物でポイントを取得した場合やキャンペーンによってポイントを取得した場合など、ポイ活で得たお小遣い稼ぎの収益でも、経済的利益と見なされると課税対象になる可能性があることが理解できたでしょうか。
一方で、ポイントを保有している状態やショップや企業グループが独自に発行するポイントであれば経済的利益に該当しないため、課税対象外です。
ポイ活で確定申告が必要なのは、収益はもちろんですが、「給与所得者であるか給与所得者以外なのか」や、所得の種類が「一時所得か雑所得か」によっても異なります。
ポイ活での確定申告に当たっては個々のケースによって判断が左右されることがあるため、日頃からのポイ活でのポイントの獲得履歴と収入の記録を忘れずに整理しておきましょう。

Uvoice編集部
ポイ活サービス「Uvoice」「Uvoiceブラウザ」を運営する株式会社ヴァリューズのUvoice編集部です。お得に暮らすヒントをご紹介します。
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